New!! 地下開発(後編)

子供の頃、サンダーバードの「ジェットモグラ」やウルトラセブンの「マグマライザー」にワクワクしたものです。しかし、岩盤力学・トンネル工学が専門の今、実現可能性が非常に低いことがわかります。多くの問題や課題を有していますが、岩盤力学の観点から、地圧(土塊重量)と地質構造の複雑性が、金属工学や機械工学の観点からは地熱が肝となる事が理解できます。

宇宙空間の特徴は空気が無いことと極低温(-270℃)ですが、地下は真逆です。つまり中身がぎっしり詰まった空間を突き進むことになります。深部に向かって掘り進むと、上部からの圧力が加わります。例えば、たかが深さ3000mでも初期地圧(一次地圧)は70MN/m²にも達し、支持する岩盤強度によっては、空間を安定的に維持することは岩盤力学上相当困難となります。さらに、空洞を掘削すると初期地圧は再配分され二次地圧となり、応力集中と応力緩和が生じます。ますます空洞安定上は厳しい条件になります。加えて、地質構造の複雑性も考慮しなければなりません。岩盤は金属のように均一な組織構造ではなく、大小さまざまな割れ目が含まれ、空間の自律性や安定性を阻害します。その結果、トンネル施工中には岩盤崩落事故が起こることもあり、深部になればなるほど、そのリスクは高くなると想像できます。

一方、施工機械に着目すると、問題をややこしくするのが地熱です。一般的に100m深くなるごとに3℃温度が上がると言われていることから、3000m深部では100℃(地表温度+温度勾配×深度)を超えると予想されます。コラ半島での大深度ボーリングでは、5,000mで70℃に、12,000mでは220℃に達したので平均温度勾配は1.8℃/100mになります。通常、掘削機のビットやロッドは鉄材を使用しています。そのため、環境が高温になればなるほど剛性の低下が鬼門になり、特別な工夫が必要になります。当然、現状のトンネル施工の様に人間が生身で施工することはできないことは言わずもがなです。ここで面白いSF映画「The Core」です。熱と圧力が増加すればするほど強度を増す金属、そしてレーザーで地殻の岩盤を溶融させるアイデアです。現実味がありそうですね。後者の高出力レーザーによる岩石・岩盤の掘削は、基礎研究レベルとして存在しますし、私も以前検討したことがあります。

以上、アニメやSF映画のように簡単ではないのです。実はもう一つ忘れてはならない事項に排土があります。多くの特撮番組では無視されている排土問題です。掘った土や岩屑は初期段階では地上に噴出していますが、掘り進むと掘った後から自らが埋もれてしまう事です。イヤハヤ、大深度への到達は一筋縄ではいかないのです。

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